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GROW LANSER
− グローランサー −


M2


1.RML(王立魔法研究所:Royal Magic Laboratory)経過報告
 「グローシアン影響下運用試験用複製体(以後試験体)」は存在に不可欠とされた
ゲヴェル(以下Gと標記)波動が絶えて半年が経過する今も正常に活動を続けてい
る。パワーストーンによる肉体の再構成が要因である事は間違いない。検査の結果、
試験体のG細胞は若干の萎縮と再生能力の低下が見られる物の、依然として人間の細
胞を遥かに越える能力を持ち続けている。
 既に試験体のG細胞が長期の運用試験の影響で通常のG細胞と比べG波動依存率が
低い事は報告済みだが、パワーストーン効果によって完全にG波動依存から脱却した
物と見られる。さらに今回、G細胞に施されている封印、「グローシアンリミッ
ター」もほぼ解除されている事が明かになった(これがパワーストーン効果によるも
のなのか長期運用試験によるものなのかは不明)。
 いずれにしても試験体のG細胞は軍事利用への弊害となっていた「G波動依存」と
「グローシアンリミッター」という問題をクリアした突然変異種と考えられ、今後試
験体のG細胞を「新ゲヴェル(以下NG)細胞」と呼称する。
 RMLとしてはこのNG細胞の発見を期に悲願であった軍用ホムンクルスの開発を
進言したい。

2.軍部見解
 軍用ホムンクルスの開発にあたって軍部としては懐疑的である。まず、先の報告に
あった試験体を見るまでもなく、製造開始から実戦投入までの養育期間が兵器として
は長すぎる事。さらに複製段階での生産性の低さ(現在のホムンクルス技術では多数
の失敗作が生じると聞き及んでいる)も問題である。
 最大の懸案はそうした生産面の問題よりもその性能にある。現在製造されているホム
ンクルスは自我に乏しく、肉体的にも訓練した人間より劣る。それはホムンクルスの
多くが事務職に使用されている現状を見ても明白でありNG細胞移植によって性能の
向上はある程度見込めるとしても、単一部隊として運用させるには柔軟で迅速な戦術
判断が不可欠となる。
 以上の点から現段階での開発計画は早計であると言わざるを得ない。
しかしながらすでに隣国においてフライシェベルグ遺跡の解明が進んでおり、遠から
ずユングクラスの量産がはじまるとの情報も得ている。軍部としては早急に対抗手段
を講じる必要性を痛感しており、より実現性の高い生体兵器の開発を希望する。

3.RML回答
先の大戦で我が特務隊が接収、使用したマックスウェル製(以下M式と標記)ホムン
クルスの調査結果から、本個体は視力及び記憶中枢、運動性能に若干の問題はある物
の、従来のホムンクルスとは比較にならない高い完成度を有する事が判明した。驚く
べき事に本個体は製造後数年を自らを人間として生活をし(RMLでの最長記録は
11日間)、特務隊の「一員」として幾多の実戦すら経験している(戦闘記録は添付
資料参照)。
 さらにこの新型ホムンクルスの製造施設及び関連技術書類をほぼ完全な状態で押収
した事によって、近日中にもこの技術の導入が可能である(既に数体の実験体を製造
中)。
 また本個体に見られた肉体的、精神的な欠陥は、初期培養段階での根本的な技術不
足が原因と考えられ、我等の高度な初期培養技術を持ってすれば量産時における不具
合発生率は5%未満と予想される。
 M式肉体培養技術の導入によって、人間を越える肉体を短期間の内に製造できる事
となる。試算では成人男性に相当するホムンクルス一体に必要なコストは費用面で2
割、工期で4割の減少(改善)が予想される。
 戦術判断能力、性能面については先の試験体からNG細胞の移植を行い肉体的な反
応速度と感知能力の向上を目指す。NG細胞移植については前例が無いため希望的観
測に過ぎないが、仮に予想された能力向上がならなかったとしても成人の状態で完成
するM式技術を応用すれば育成期間は長くて数年、最短で一般兵士養成カリキュラム
と同期間で実戦投入が可能と考える。
 また、隣国のユングクラスについてはゲヴェル細胞に施された「グローシアンリ
ミッター」を解除できないため兵器としてさほど脅威とは考えていない。グローシア
ンが大量に存在する現状と「G波動依存問題」を考えれば現行のホムンクルス程度の
能力しか発揮できないと考える。
むしろ懸念すべきはフライシェベルグ遺跡の研究によって、G波動発生機構が解明さ
れる事にある。人工的にG波動を作り出す事ができればユングクラスの軍事利用は言
うに及ばず、移植を予定しているNG細胞にも影響を与える可能性は否定できない。
 「グローシアンリミッター」に関しては試験体と押収したフェザリアン関連技術の
解析によって解除可能との見通しである。将来的には「グローシアンリミッター」や
「G波動」に影響されない新種の強化細胞の開発を目指す。

4.御前決議事項(第22308号)
軍用ホムンクルス開発にあたり以下の2型式を平行して開発する。
頭文字のMとはマックスウェル技術応用ホムンクルスを指す。
M1型…通常型
M2型…NG細胞移植型
以上2型式に対し、各々以下の派生型が存在する。
A種…基本型
C種…戦隊指揮官型
F種…索敵偵察型
G種…魔法能力強化型
上記のうちC種においては完成後最低1年間の戦術教育を施す。

上記のうちF種においては現行の「TIPI(戦術警戒侵入機: Tactical Patrol 
Intruder )」クラスを原型とする。
最も実現性の高いM1F型は、3年後に正式配備を目指すものとする。


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