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聖戦士ダンバイン
− 聖戦士伝説 −


「オウエンの憂鬱」

※状況説明 (カオスルートです)
先代の国王、ゴート・トルールに古くから仕えていたオウエン。
シュンジが王になってからも国政のほとんどは彼に一任されていたのではないだろうか。
老臣には老臣なりにリの国を案じていたに違いない。

オウエンは大きく溜息をついた。もう何度目だろうか、部下には見せられない姿だ。
シュンジが王となってはや半年、それまでの事がウソだったように目まぐるしくこの国は変化した。
まず第一に戦に継ぐ戦。以前はガロウ・ランや強獣といった「内在」する敵以外に戦う余裕など無かったのにシュンジが王位に就いてからという物、ア、ミ、そして大国ラウとまで戦端を開いている。
オウエンにとっては無謀を通りこして悪夢だった。
しかし、オウエンの溜息は別の要因がある。
シュンジがほとんど城に居られないほど戦争が続き戦費はかさむ一方にも関わらず、国家の収益は急激に増えているのだ。
 シュンジは軍事に限られてきたオーラマシンの使用を積極的に民事に導入した。
ピクシーやミュウ、シュットといった小型のマシンから時にはオーラバトラーまで。
特にナムワン級オーラシップは購入以来、ガロウ・ランとの戦いで疲弊した村落に物資を運び続けている。
貴重なオーラマシンをこのように使うにはアの国でも有り得ない事だった。
そしてもう1つ、増収の大きな原因は強獣対策だ。
強獣は増えれば害を成し、手強い上に倒した後の後始末も大変とあって、以前は年に数回しか「強獣狩り」は実施出来なかった。
それがこの所、毎週のように行われている。
シュンジは倒した強獣の「輸出」をはじめたのだ。当初は皆無知ゆえの絵空事だと思ったが、オーラマシンの原材料としてアの国をはじめ商談が殺到している。
今では注文に対応するために狩りに出る時もあるほどだ。
さらに強獣相手の実戦を積む事で操手の練度も上がり、リにとっては一石二鳥どころか主産業と言っても過言ではない。
つまる所、それがオウエンに溜息を付かせている原因だった。
まったくの素人であるシュンジを王に就かせた事への不安感はすでに無い。
問題は戦の拡大に比例して国が富み、民に謝った認識を持たせるのでは無いかと言う事だ。
長らく国政を支えてきたオウエンは「分相応」、弱小であればこそリはリでたりえたのだと信じていた。
それが今や、アとクに匹敵する大国と目されている。
遠からぬ将来、この国は制御できなくなるのではないかという漠然とした不安にオウエンはまた溜息をついた。

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