20th Dunbine



AURA BATTLER「クルセイダー」


− 設計者:キムッチさん(2001/4/1) −
※掲示板の内容をそのまま掲載しています

◆そもそもアの国は隣国ミを併呑した以降、戦火が拡大していくにあたって、
その拡充される軍備をどのようにして用意できたのだろうか。
この疑問において最も大きな疑問点はABやオーラシップの材料の準備である。
いくら強獣が大量に棲息していたとしても、その後の状況から察するに、
支配下の国土全てから調達できるだけの物量ではないと想像する。
技術の輸出という方法で資本は増強できても、材料がなければその野望とてただの夢想に過ぎない。
またショット・ウェポンの日夜の研究からも、その時点ではより軽量で強固な装甲素材を開発することは困難だとされていた。
つまり人工的に素材を製造することは技術的に難しかったのである。
この先行き不安な状況でドレイク・ルフトがとった方法は、より高度な装甲素材の獲得を目的として、
遥か彼方の東方諸国に出兵することであった。
幸いにもオーラシップの戦略的必要数は満たされており、単純に資材運搬用として運用するだけの隻数も用意できた。
まさに彼王はオーラマシンを尖兵として送り込み、素材となる強獣を狩ろうとしたのである。
(この狩猟はギブン家側でも行われていたのは周知の通りである。ただラウ領内での話ではあるが。)


◆この時点で知られている東方の国々とは、文化形態はおろかその水準さえも西方の諸国とは
比較にならないほど低いものであったといわれている。無論、ドレイク自身もそれを信じて疑わなかった。
ごくまれに東西を往来する商人のキャラバン(東方の珍しい品々を西方に運んでいたといわれる)が
国内に入り行商を行うこともあり、その人々が語って聞かせる東方諸国の話は彼の耳にも届いていたからである。


◆ドレイクの思惑としてはこうであった。
一個編成のオーラバトラーとオーラボム、そしてオーラシップを役割別に4隻送り込み、強獣狩りとその運搬を行わせる。
噂話の域を出ない東方の実態が、果たして噂どおりならば、更に機械の館を仮設して現地で材料加工もできるだろうと。
仮に強力な国家が存在したとしても、出兵戦力で応戦可能な戦力レベルならば制圧してしまうまでのことである。
彼の野望はとどまるところを知らなかった。


◆ドレイクがこの計画をショット・ウェポンに語ると、彼はその出兵に合わせた装備の調達が急務となった。
既に大型戦艦の建造計画は王に認可され、設計上の最終工程に入っていたし、
ABやウィングキャリバーの拡充も遅らせるわけには行かない。
オーラシップは用意できていたが、ABの主力機であるドラムロ型を随行させたのでは、
現地で強獣を狩ったあとの運搬作業に支障をきたす(機体サイズや鍵爪型マニピュレータの汎用性の上で)
と想像できたため、出来るだけ人型のABを派遣する必要があった。
しかしビランビー型以降の新機種についてはまだまだ戦力外の目的で調達することは難しく、
結果的にショットが採った結論は、ダンバイン型の製造という方法であった。
ダンバイン型は最初の3人の地上人に与えられた3機以外には製造されていなかった。
各地上人のその後の経緯もあったし、なによりもドレイク本人の酷評のために製造することが許されなかったのである。
しかし材料的には製造可能で、この時点では予備資材も含めておよそ7機分のパーツが残存していた。
ショットはこれを使って4機のダンバイン型を「再建造」することとなるが、
実際はビランビー以降で実用化した技術を盛り込んだプラス(改修)型と呼ぶにふさわしい機体になったのである。
(とはいってもオリジナルの1機であるショウ機は後にコンバータのアップグレードにより出力が上がっているので、
比較するとそれほど高性能化しているわけでもなかった。
主な改修ポイントはコモンに扱える点と、ピーキーな出力特性をコモンの低いオーラ力に合わせてデチューンしている点である)


◆製造されたダンバイン改(建造は機械の館1号棟で行われ、ロールアウトまでこう呼ばれていた。
通常戦力としてのオーラマシンはラースワウとは隔離された2号棟以降の棟で行われていた)はドレイクの検閲を受けることなく
密かにロールアウトすることとなる。
そのダンバイン型の存在は、計画を一任されていたショットにとってドレイクに咎められることでもなかったのだが、
彼は王への配慮から機体名を改名した。

『オーラバトラー・クルセイダー』

それがこの4機の制式呼称となった。
地上の史実にもある「十字軍」からショットが名づけた名称である。
意匠はほとんどダンバイン型のままであったが、侵略目的のABではなかったため、
火器は不携行(無論装備はできるのだが)、打撃系の耐ダメージ性向上のため、機体各部の装甲は1,2割の厚み増加、
および円楯の追加装備で防御性向上を図っている。


◆クルセイダーは東方諸国に送り込まれ、のべ300余回に渡って本国に猟果を送り込んだ後、
耐久資材の不足から可動不可となり、出兵先の海に沈められた。
本国に持ち帰れないこともなかったが、動かないABよりも狩った強獣を積載するスペースが必要であったため、
残して再利用されないよう海中に沈めたのである。


◆こうしてこのABは物語に名を残すこと無く、しかし歴史上、非常に重要な役割を担って消えていったのであった。


<ショートストーリー予告> 聖なる戦い。 かつて地上界で聖地を巡る大遠征があった。 十字軍。 思惑に反して歴史は支配階級の没落をその成果として記している。 良くも悪くも。 世界が変貌する際にそれは姿を現すものなのか。 次回「クルセイダー」。 守るべきものを遠く離れて男達は戦う。 >ショートストーリーへ

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