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※マラ・ブランさんより投稿頂いた内容をHTM化した物です。

『大戦略98   シナリオ59  アヴァランチ作戦』(※1)


Chapter0.長靴の危機
時は1943年。プレイヤーはイタリア半島駐留のドイツ第10軍を率い、この地に上陸せんとする米英軍を迎え撃つ。 敵全軍の降伏が29ターン以内なら「大勝利」、41ターン以内なら「勝利」、 敵味方の残存状況に関わらず41ターン以内に決着がつかなければ「引き分け」となる。 それぞれ移行するシナリオ先が変化する。 イタリア半島北部・中部・南部の三拠点全てを占拠されるとゲームオーバー。 このマップ、プレイヤー側に全ての悪条件が集約されている。 まず、自軍の都市・空港・軍港の数が極端に少ない。補給どころか部隊配置もままならない。 当然マップ後半は資金繰りに苦しむことになろう。 部隊配備の関係上、北部の都市群は維持不可能。 以下、中部・南部の拠点(これ以降各拠点を<北>・<中>・<南>と略す。 「レッジョ・デ・カラーブリア」だとか、具体的な都市名は長過ぎる(笑)し、だいたい場所わからんよね)に関して話を進める。 当初友軍であるイタリアは7ターン目に中立化。 補給させてくれないのは仕方ないとして、 索敵を中級以上にしていると、イタリア軍兵器の索敵範囲・およびイタリアの都市周囲6ヘックスにいる 自軍ユニットの位置を敵に教えてくれる…。 わが国もいい友人を持ったものだ。 対して敵は四方面軍。強力な戦艦を含む大艦隊と航空編隊。 これが北部・中部・南部に同時に襲いかかる。上陸用舟艇を阻止できなければ陸戦部隊も大挙して押し寄せる… ところがマップ上に司令部を持つのは南方の一軍のみ。 つまり空挺部隊による司令部強襲攻略によって降伏においこめる軍はここだけ。 他の三軍は莫大な軍事費が底をつくまで撃沈・撃墜しつづけなければ降伏に追いこめない。 ちなみに敵の初期軍事費の総額は670,000。我が軍の約14倍である…。 Chapter1.ブラン閣下の憂鬱
プレイヤーの初期生産都市は<南>。 空港は一つと寂しいが、プレイヤーの都市で唯一軍港が存在するため、単体で最強の攻撃力を持つ戦艦が配置出来るのが魅力的だ。 目と鼻の先に敵の生産拠点があるのだが、艦艇・航空機・重砲群が取り巻いている。 配置するなり自軍ユニットは跡形もなくされる。おそらく2ターン目まで生き残れるのは軍港に居座らせる戦艦だけだ。 手持ちがあればこの戦艦を次のターンでも配置したいところであるが、1ターン目終了と同時に<中>に強制遷都(※2)を余儀なくされるだろう。 これでもう艦船は配置出来ない。 プレイヤーがゲーム中最強のH級戦艦を二隻配置し、毎ターン軍港で修理しても、敵の大艦隊の前に多勢に無勢。まず撃沈は免れない。 結果、イタリア南部に上陸した部隊に<南>は占拠されるだろう。 同時に港も敵の手に落ちるので、敵は艦船の補給し放題。艦隊の援護のもと、南方軍も北上してくる。 史実ではイタリア半島の防衛線、グスタフラインで挟撃されるドイツ軍であるが、このシナリオでは<北>が早い時期に陥落するため、 グスタフラインよりやや南部で南北から挟み撃ちにされる壮絶な運命が待っている。 このシナリオを「難易度調整」(※3)無しで勝てるのか? プレイヤーがこのシナリオまでにH級戦艦(最低でもビスマルク級は必要)の大艦隊(10隻でも多すぎはしないだろう)を保持していれば、だ。 これで生産資金の高い航空機をバリバリ叩き落し、敵に生産を繰り返させるのだ! ん?プレイヤーは<中>に遷都してしまうので、もう戦艦は配置出来ないはずでは? よし、なんとかしよう。以下に私が実行した作戦をもとに奇策を記すことにする Chapter2.ケース・ブラン
まず、<南>の軍港二つに戦艦を配置。ここを出てしまうともう補給港はない。 損害を覚悟の上で敵の上陸を防ぎつつ居座らせる。 そして艦砲射撃で敵の上陸用舟艇、歩兵を優先的につぶす。 <南>の占領を防ぐためだ。近辺には要らない部隊や対戦車砲を全滅覚悟で置いておこう。 <中>に遷都したらこの地を要塞化する。間違っても<北>の占領を防ごうなどと部隊を派遣しないこと。 実は<北>は早く占領してもらった方がイイのだ。 足の早い地上部隊がすぐ南下してくるので重戦車の「壁」と砲兵隊は北側に布陣するべし。 またこの地は何度か戦艦の艦砲射撃を食らう。余裕があれば建設工兵で防御陣地を作っておこう。 防御力の弱い対空兵器・砲兵隊はここに置いておかないと、あっという間に壊滅する。 <中>は空港が二つしかないので航空機の燃料切れは要注意だ。合流補給(※4)という裏技を使おう。 この時期には対艦専用爆撃機・攻撃機も登場しているはずだ。 つい戦艦に差し向けたくなるが、自動反撃(※5)の防御砲火と護衛機の前に生還は期し難い。 空港が少ないため魚雷の補給もしている暇がないほど。今回は残念ながらほとんど活躍の機会は無いだろう…。  イタリアが中立化する頃、航空機はすでに<中>に迫っている。 ひとまずZOCを張って(※6)敵の航空機の首都圏侵入を阻もう。 そして<北>が陥落し、<南>が死守できていることを確認したらわざとZOCを解き、敵に<中>近辺に進行を許す。 すると「強制遷都ルール」が働き、プレイヤーは<南>に帰還できる。 本来<北>に遷都されるはずだが、他に遷都候補地がないと最前線の<南>に送ってもらえるのだ(笑) すかさず戦艦を軍港から移動。ここにまた戦艦を二隻配置する。 依然<南>の包囲は続いているはずなので、おそらく次のターンに「強制遷都ルール」が働き、プレイヤーは<中>へ。 燃料ギレが迫り、空港・空母へ帰還しようとする航空機を、今度はZOCを張って<中>近辺に閉じ込める。 すると再び<南>へ強制遷都。またこのターンに戦艦を配置する。 これをうまいこと繰り返すと<南>の軍港周辺はH級戦艦の群れが覆い尽くしているだろう(笑) 戦艦の数がたまったら反撃開始だ!生産費の安い地上部隊を艦砲射撃でつぶすより、航空機を対空砲火で叩き落とそう! H級は若干だが米英の戦艦より射程が長い。 索敵をオフにしてヘックスを数え、反撃を受けない距離から砲撃してダメージを与えてもいい。 史実とは逆にイタリア南部から逆進して戦線を押戻せ!シチリア半島に再上陸せよ!(笑) そしてわずかでも都市収入を得るため、南方軍が降伏したらこの地の都市は残らず占領してしまおう。 Chapter3.報われぬ勝利
ただし、このゲームは大勝利に持ち込んでも、第三帝国の逆転勝利どころか、条件の良いマップに進めるわけでもない。 ボーナス資金・プレゼント兵器があるわけでも無い。 引き分けで進むことになるシナリオ「中央軍集団の崩壊」は、不吉な名称とは裏腹に資金がふんだんにあり、部隊の再編には都合のいいシナリオだ。 三方面軍が降伏したら憎っくきイタリアに喧嘩を吹っかけ、都市収入と経験値を頂きながら引き分けに持ち込むのも手だ。 より楽にマップを進めたければ天候・索敵のオン・オフを有効に活用しよう。それでも序盤から中盤は修羅場だ。 もちろんこのシナリオにぶつからないようにゲームを進めるのが一番だ。 余談であるが、本当にこのゲームほど「大勝利」が空しく感じられるゲームはない。 だいたい、この一つ手前のシナリオ「ドニエプル湾曲部」で、ソ連軍の大群を相手に気の遠くなるような思いでハリコフ (プレイヤーの初期生産都市。この地を守るため私は経験値マックスのタイガー三部隊を失った…)を死守し、 「大勝利」をつかみとった人間への「御褒美」が、これなのだ… やりきれないのは、このシナリオを適当に戦って引き分けに持ち込んでも「中央軍集団の崩壊」に進めることだ。 長期的な作戦を立て、必要な戦力(戦艦など)が揃わないようなら条件の良さそうな戦場へ移行しよう。 <用語解説>
※1 大戦略98 本文はWindows95/98専用「アドバンスド大戦略98」に対応。 「アドバンスド大戦略98II(ツヴァイ)」では「建設工兵が空港を設置できる」、「第一ターンが配置・攻撃ターンに二分化されている」など、 若干難易度が下がっている。また、当然仮想シナリオだが、ドイツ最終勝利、西側・東側との共同戦線なども楽しめる。 ※2 強制遷都   ゲームのルールの一つ。生産首都を中心とした半径5ヘックス以内に敵が進入すると、遷都先があるときは遷都する可能性がある。 敵の進入が多くなるとそれだけ確率が高くなるというもの。何度も遷都を繰り返すことも、アリ(笑) ※3 難易度設定   シナリオ間保存データを使うことで敵の部隊数・資金を調整できる…らしい。私は使ったことが無いので何ができるのかも実は良く知らない(汗) ※4 合流補給   ゲーム特有の戦術。機体数の減った部隊は同種類機体の部隊に限り、行動コマンドで「合流・補充」を選択できる。 この際、弾薬数・燃料は中和される。燃料が減りすぎて空港に帰投することもできない部隊は、燃料タンクをつけた部隊を合流させて助けてあげよう。 これで帰還くらいはできる燃料が補給できるはずだ。もっとも、機体の数が減っていないとこのコマンドが現れない。 そのときはわざと強い敵にぶつけて部隊数を削るのだ(笑) ※5 自動反撃   艦船のうち、この機能を備えているものは自艦のみならず、射程内全ての自軍に関してこれをおこなう。 このゲーム、艦艇の対空砲火の命中率が異様に高い!艦艇の密集地帯で航空機が魚雷など投下しようものなら全滅は必至だ。 逆に敵COMは命知らずなのでどんどん飛びこんでくる。艦艇は密集させて防御に努めよう。 ※6 ZOC   ジオンの水中専用…ではなく「ゾーン・オブ・コントロール」の略。各部隊は存在するヘックスの周囲6ヘックスに影響力を持つ。 この効果により、部隊間に隙間があっても敵側は進入することができない。 ユニットを一つおきや二つおきに配置して敵の侵入を食い止めることを「ZOCを張る」という。

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